部下の「大丈夫です」を信じてはいけない。
2017年12月6日 水曜日
誤解の無いように最初に言うが、「部下を信じてはいけない」のではない。当然のことであるが部下に関わらず同僚や仕事における仲間との関係では信頼関係が大きな基盤になる。
ブライダルの業界ではいわゆるシーズンが終盤を迎えるころだ。予算計画通りの成果を達成した会場もあれば悔しい思いをした会場もあると思うが、まずは結婚式業界で働くすべての方に「お疲れさまでした」という気持ちだ。
ただ我々のような結婚式場で仕事をされる皆様を裏方でサポートする立場(売上を構築する立場)としてはトップシーズン中はさほど重要ではない。
そのようなことを言うと残業続きで働いてくれている弊社の社員に叱られるかもしれないが、これからの時期こそが我々にとってのシーズン突入である。イソップ童話のアリとキリギリスの話ではないが閑散期である今の時期、特にこの時期は来年度の受注確保のラストスパート、予算編成、スタッフの教育、商品の見直しなどシーズン中なかなかじっくり手が付けられない重要な業務が山積みである。逆に言えば、この時期をしっかり乗り切れば来年度も良い展望が見いだせる。また来シーズン(3月・4月)の新郎新婦の打合せも同時に始まってくる時期である。そういったことを踏まえればシーズン以上に忙しくなる時期かもしれない。
話を本題に戻すが、この時期は新入社員もある程度の経験を積み繁忙期を乗り越えそれなりにウェディングプランナーらしく雰囲気も入社当時の幼い面影もなくなってくる。様々な仕事も手取り足取り教えなくても、ある程度できるようになる。それはそれで喜ばしいことであるが、管理職の方々へは自分も含めて油断してはいけないと自覚したい。ある程度スタッフが成長するとどうしても任せることが多くなり、時々「大丈夫か?」「問題ない?」「何かあれば相談してね」というような言葉で管理ごっこになっていないか。経験の上で申し上げると、ほとんどの場合「大丈夫ではありません」という返答は帰ってこない。
「(とりあえず)大丈夫です。」と言う。その言葉を鵜呑みにしてはいけない。なぜならば、その返答を正確に翻訳すれば「(まだまだ経験の浅い私の基準で言えば)大丈夫です」ということになる。本人には1%の罪もない。鵜呑みにする管理職が浅はかなだけである。自分が楽できることを良いことに都合よく解釈しているに過ぎない。
自分も含めて多くの人は自分のことが分かっていない。または誤解している。しかも自分に対しての認識は不変ではない。だから環境に応じて自分を過大評価することもあれば過小評価することもある。環境に応じて「自分は何もできない」と思うこともあれば「自分ならきっとできる」と思うこともある。それほど環境に依存する存在である。
よく日本人は◎◎だという表現があるが、それは明らかに日本人のDNAに起因するものではない。白人であろうが黒人であろうが生まれたときから日本という国で日本人として育てればその人間の中身は日本人になる。つまりどんな人間もあらかじめ運命づけられた「自分」という絶対的な存在は無い。あくまでも相対的な自分である。環境がそうさせているだけである。
部下が本当の意味で仕事ができるようになるためには管理職がその環境を適正に整える必要がある。そして「大丈夫」というような曖昧な言葉で片づけてはいけない。少なくとも「大丈夫」という状態がどういうことかを具体的に教える責任があるのではないか。
そういった環境づくりを見直すにもこれからの時期は絶好のチャンスだと思う。